不当解雇.com > 退職 > 自己都合退職でも有利に辞めよう
私(30歳)は,5年間A病院で看護師として務めていましたが,視力・聴力が減退したことから,この度,自己都合により退職しました。しかし,友人の話によると,体力不足や疾病・負傷などにより退職した人は,特別に失業給付がすぐに支給されるし,給付期間も長くなるらしいのです。
私の場合,そのようなメリットを受けることはできるのでしょうか。
正当な理由のある自己都合により離職(退職)した人は,特定理由離職者として,基本手当(いわゆる失業給付・失業手当と呼ばれるもののこと)の受給資格(基本手当の支給を受けることができる資格)要件や,基本手当の日額,所定給付日数(基本手当を支給する日数)などにおいて有利な取扱いを受けられますし,また,一般に自己都合退職の場合になされる給付制限も行われません。
あなたの場合,視力・聴力の減退を理由に退職したということですので,特定理由離職者に該当する可能性があります。
退職には大きく分けて「自己都合退職」と「会社都合退職」とがあります。そして,「会社都合」で退職した人の方が,「自己都合」で退職した人より有利な取扱いを受けることが多いといえます。例えば,「会社都合退職」であれば,①手厚い失業給付がもらえる,②失業給付がすぐにもらえる,③再就職先が決まる可能性が高くなる,といったメリットがあります。
これまでは,給与が大幅カットを通告されたり,遠隔地への配転を命じられたりして退職に至った場合のように,非自発的に退職を余儀なくされた場合でも,自分から申し出て退職する人の殆どは,会社の言いなりに何となく「自己都合退職」を選んでいるのが現状でした。
しかし,法改正により,解雇や倒産以外の理由であっても,後述のような退職理由に該当すれば,「会社都合」と同じように辞めることができるようになったのです。
特定受給資格者とは,再就職の準備をする時間的余裕なく退職を余儀なくされた人であり,一方,特定理由離職者とは,特定受給資格者以外の人であって,期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由により退職した人をいいます。そして,これらに該当すると,以下の点で,有利な取扱いを受けることができます。
原則として,「離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上」であることが要件となっていますが,特定受給資格者又は特定理由離職者に該当する者は,「離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上」であれば,基本手当の受給資格を取得できます。
一定の要件に該当する特定理由離職者には,より有利な賃金日額により基本手当の日額が算定されます。
多めの日数分の給付が受けられます(但し,特定理由離職者の場合,離職の日が平成21年3月31日から同24年3月31日までの間にある者に限られます)。
例えば,上記の事例の場合,特定理由離職者に該当すれば,180日分の基本手当の支給を受けることができますが,特定理由離職者に該当しなければ,90日分の基本手当の支給を受けられるにとどまります。
正当な理由がなく自己都合退職した場合には,待期期間(求職の申込みをした日以後,通算して7日間)の満了後,(通常は)3か月の間,基本手当が支給されません(これを「給付制限」といいます)。しかし,特定受給資格者又は特定理由離職者に該当すれば,給付制限を受けません。
これらのうち,少しでも自分に思い当たることがあれば,あなたは「会社都合」と同じように辞めることができる可能性があります。では,次に実際の申請手続をみてみましょう。
基本手当(失業給付のこと)の支給を受けるためには,失業の認定を受ける必要があります。そのためには,離職後,住所地の公共職業安定所(ハローワーク)に出向き,求職の申込みをしなければなりません。求職の申込みは,住所地のハローワークに対し,離職票(離職日の翌日から10日以内に会社から自宅に送付されます)を提出して行います。
ハローワークでは,提出された離職票によって,その者が基本手当の受給資格を満たすと認めたときは,その者が失業の認定を受けるべき日(失業認定日。求職の申込みのため,離職後最初にハローワークに出向いた日から4週間に1回ずつ定められます)を定め,その者に知らせるとともに,受給資格者証を交付します。つまり,この時点で,特定受給資格者又は特定理由離職者に該当するか否かが決定されるのです。
退職の意思表示を受けた会社は,ハローワークに提出するための「「離職証明書」を作成します。「離職証明書(事業主控)」,「離職証明書(ハローワーク提出用)」,「離職票」は,3枚複写となっていて,最終的に,3枚目にあった「離職票」が会社から離職者に送付されます。「「離職証明書」の選択式の離職理由欄には,事業主記入欄しかなく,離職者記入欄は設けられていません。なお,これとは別に,離職者本人が,事業主が記入した離職理由について異議があるか否かを選択し,記名押印又は自筆署名する欄が設けられています。
「離職票」の選択式の離職理由欄には,事業主記入欄と離職者記入欄が並ぶ形で設けられています。また,これとは別に,離職者本人が,事業主が記入した離職理由について異議があるか否かを選択する欄と,その欄に自ら記載した事項に間違いがないことを認めて記名押印又は自筆署名する欄が,それぞれ設けられています。
離職理由が,事業主が記入した離職理由と異なる場合は,「異議あり」を○で囲みます。そうすると,最初にハローワークに出向いた際に,その理由を聞かれます。そこで,証拠を示しながら,その理由を説明し,係官を納得させる必要があります。
具体的にどんな証拠を確保しておくべきかについては,上記の3.(1)①ないし⑧,及び,(2)①ないし⑥までのそれぞれの「退職理由」ごとにカッコ書きで付記しておきました。 ハローワークの係官は,裁判官のように中立的な立場で当事者双方の言い分や証拠を比較検討して,結論を出します。会社の言い分と食い違っていても,証拠さえそろっていれば,ハローワークはあなたの言い分を認めてくれるのです。
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