不当解雇.com > 不当な配置転換・出向・転籍 > 出向とは?
私は,長年鉄道会社において車両係・運転士等として勤務してきましたが,先日,突然関連会社での車両清掃業務・食堂車で使用する物品の積み込み作業・保線作業等への出向命令が出されました。 しかし,私は,入社以来車両の検査修繕とか運転あるいは保線作業の指示点検という専門的な技術を習得し,その技術を磨いてきましたので,出向先の単純な作業に従事することは全くの異職種への職務変更と言えます。また出向先での勤務形態もいずれも夜勤であり,身体への負担のより大きいものとなります。さらに,他にも多数の従業員がいる中で何故私が出向の対象に選ばれたのかも全く分かりません。このまま命令に従わなければいけないでしょうか。会社は命令に従わない場合は,解雇も検討するなどと言っています。対応方法を教えてください。
出向とは,ご相談のケースのように,雇用先企業との労働契約に基づく従業員としての地位を保有したまま,他企業(出向先)の指揮監督の下に労務を提供するものです(在籍出向といわれることもあります)。(在籍)出向命令が有効であるためには,ほぼ配転命令と同様に,①労働契約上,配転命令権の根拠があり,その範囲内で配転命令が出されること,②法令違反等がないこと,③権利濫用でないこと,といった3つの要件を満たす必要があります。ご相談のケースでは,まず出向命令の根拠があるのかが問題になりますし,出向によって労働者が被る不利益も大きく,かつ,人選について合理性があるか不明です。従って,出向命令が無効になる可能性があります。
そこで,次のような対応が検討されるべきです。
出向とは,ご相談のケースのように,雇用先企業との労働契約に基づく従業員としての地位を保有したまま,他企業(出向先)の指揮監督の下に労務を提供するものです(在籍出向といわれることもあります)。
(在籍)出向命令が有効であるためには,ほぼ配転命令と同様に,次の3つの要件を満たす必要があります。
転籍と異なり,労働者の個別的な同意は不要であり,あらかじめ労働者の包括的な同意があれば,原則として,出向命令は有効であると考えられています。ただ,出向の重大な効果に鑑み,就業規則に「出向を命じうる」などという抽象的な規定があるだけでは,根拠として合理性,規範性に欠けるとされています。裁判例には,就業規則に単に「業務の都合により必要がある場合には,出向を命じることがある」と定めるだけで,出向先の労働条件・処遇,出向期間,復帰条件などが定められていない場合は,出向命令の法的根拠を欠き,無効であるとしたもの(日本レストランシステム事件・大阪高判平17.1.25労判890),出向命令が労働契約上の根拠を有するためには,就業規則,労働協約,労働契約,採用時の説明と同意などによって,ⅰ)出向を命じうること自体が明確になっていること,ⅱ)出向先での基本的労働条件が明瞭になっていることなどが必要であるとしたもの(新日鐵事件・最判平15.4.18労判847)があります。
出向命令は、組合活動の妨害を目的とするような不当労働行為(労組法7条)に当たる場合や、思想信条による差別(労基法3条)に当たる場合などには、無効になります。また、労働協約や就業規則の条項に違反してなされた出向命令も、一般に、無効になります。
権利濫用か否かは、労働契約法14条により、出向の業務上の必要の有無・程度、対象労働者の選定の合理性、出向によって労働者が被る不利益の程度などを総合考慮して判断されます。裁判例には、出向先の作業が腰痛の持病をもつ者にとっては退職に追い込まれる程の過酷なものである場合、腰痛の持病があるためコルセットを常用せざるをえない者らに対する出向命令を、人事権の濫用として無効であるとしたもの(東海旅客鉄道事件・大阪地決平6.8.10労判658)などがあります。
出向労働者と出向元との間の労働契約自体は、基本的に継続します。そのため、出向元の就業規則のうち労務提供を前提としない部分は依然として適用されます。一方、出向労働者に対する労務遂行の指揮命令権は出向先がもち、出向労働者は出向先の服務規律等に従うことになるので、出向労働者と出向先との間には部分的な労働契約関係(労基法の部分的な適用があるということ)が成立していることになります。具体的に問題となるのは、ⅰ)給与・諸手当・賞与、または退職金の支払義務の所在、ⅱ)懲戒解雇・普通解雇の権限の所在、ⅲ)(出向元への)復帰の決定権限、ⅳ)労基法、労安衛法、労災保険法上の責任の所在についてです。
以下、順番にみていきましょう。
給与・諸手当・賞与の支払いについては,①出向先が支払い,出向元での勤務の場合との差額を出向元が補償する方法,②出向元が支払い,出向先はそのうちの自己分担額を出向元へ支払う方法,のいずれかの方法がとられることが多いといえます。退職金は,2つの企業での勤務期間を通算し,両企業間で内部分担し,いずれかの企業が一括して支払うのが一般的とされています。なお,雇用保険上の事業主は,主たる賃金の支払者です。
出向元が解雇の権限を保持し,その他の懲戒の権限は出向先がもつ場合が多いですが,両者が併有することもあります。
通常,出向元の就業規則(出向規程)の定めに従い,出向元が決定します。
まず,労基法上の各規定については,例えば,出向先が労働時間管理をしていれば,三六協定は出向先に締結義務が生じるといったように,その内容に応じて当該事項を管理している方が使用者としての責任を負います。そして,労安衛法上の事業者責任を負担し,また,労災保険法上の事業主となるのは,原則として現実に労務の給付を受けている出向先の事業者とされています。
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会社側の対応は様々ですが,あなたを退職に追い込むために様々な働きかけをする事が多いのが実情です。
会社があなたの要望に応じない場合は,裁判を起こします。具体的には,賃金仮払い仮処分手続,労働審判手続,訴訟手続などがありますが,事案に応じてあなたにもっとも適した手続を選択して,あなたの請求の実現を目指すことになります。
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会社側の対応は様々ですが,あなたを退職に追い込むために様々な働きかけをする事が多いのが実情です。労働者が会社に対し各種の請求を行い,対等な立場で交渉に臨むことは一般的には困難であることが多いといえます。そこで,弁護士は,あなたに代わり,情報収集のお手伝いをしたり,解雇の撤回等を求める通知を出したり,会社と交渉したり致します。弁護士の指導の下で適切な証拠が確保でき,弁護士が法的根拠に基づいた通知書を出し交渉することで,あなたにとって有利な結論を,裁判を使わずに勝ち取ることが可能です。
もし,会社があなたの要望に応じない場合は,裁判を起こします。
具体的には,労働審判手続,仮処分手続,訴訟手続などがありますが,事案に応じてあなたにもっとも適した手続を選択して,あなたの請求の早期実現を目指します。
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