私は,長年中堅電機メーカーの経理として働いてきました。現在52歳です。しかし,長引く不景気,業界内の競争激化のあおりを受け,会社の収益が悪化し,人員削減が噂されるようになりました。そうしたところ,先日,上司に呼ばれて,「能力不足なので,このままでは解雇となる。そうなる前に会社を辞めて欲しい。今辞めれば退職金に多少の上乗せをする。」と言われました。この就職難の時代に,再就職先を探すのはとても大変だと思います。また,私には子供が2人おり,現在の給与水準を維持して働いていく必要があります。それでも,私は会社を辞めなければならないのでしょうか?退職勧奨とはそもそもどういうものなのでしょうか?
上記のような会社の上司の対応は「退職勧奨」「退職強要」などと言われますが,これは単に退職するように勧めているに過ぎません。従って,労働者は退職勧奨に応じる義務はありませんし,退職の意思がない以上,きっぱりと断ることができます。
退職勧奨とは,使用者が労働者に対し,自発的な退職意思の形成を促すためになす説得などの行為のことをいいます。このような退職勧奨は,自由にすることができますが,退職勧奨を受ける側もそれに応ずるか否か自由に決定することができ,退職勧奨に応ずる義務はありません。
もっとも,自由に退職勧奨をできるとしても,労働者が自由な意思決定を妨げられる態様の退職勧奨は許されず,説得の回数,説得のための手段・方法は社会通念上相当であることが求められ,その態様が強制的なものや執拗なものである場合には不法行為を構成し,使用者に損害賠償責任を生じさせることもあります。
解雇された又はされそうなあなたが採れる手段は,ケースバイケースですが,直ちに解雇の撤回・復職を求めたり,あなたが解雇されなければもらえたはずの賃金を請求したり,不当解雇による損害賠償を請求したりすること等が挙げられます。
まずは,なるべく早くご相談下さい。相談が早ければ早いほどとりうる手段は多いものです。
弁護士は,あなたのご事情を伺い,具体的対応策をあなたと一緒に検討し,最善の解決策をアドバイスします。
不当解雇.COMでは,解雇等された方のご相談については,初回30分間を無料で承っております。
あなたのケースでは解雇は有効になるのか否か,具体的な対策として打つべき手は何か,証拠として押さえておくべきものは何か等をアドバイスします。
法的措置をとる場合はもちろん,交渉による解決を目指す場合も,証拠の確保が極めて重要になります。あなたにとって有利な証拠を出来るだけ確保して下さい。
まずは,法的措置を用いず,会社と交渉して,あなたの望む結果(解雇を撤回,復職,未払残業代の支払い,より有利な条件での退職等)が得られるようにします。
会社側の対応は様々ですが,あなたを退職に追い込むために様々な働きかけをする事が多いのが実情です。
会社があなたの要望に応じない場合は,裁判を起こします。具体的には,賃金仮払い仮処分手続,労働審判手続,訴訟手続などがありますが,事案に応じてあなたにもっとも適した手続を選択して,あなたの請求の実現を目指すことになります。
不当解雇され自信を失ったあなたは,家族・友人にも中々相談できず,一人苦しんでいませんか?安心してください。弁護士はあなたの味方となり,親身に話しを聞いて,今後の対応を一緒になって考えます。弁護士はあなたに共感し,あなたと一緒になって戦うパートナーです。
不当解雇と闘う場合,ケースバイケースに採るべき対応策や確保すべき証拠も異なります。また,時々刻々と状況が変わっていき,その都度適切な対応をとることが必要です。この対応が間違っていた為に,その後の交渉や法的措置の段階で不利な状況に立たされることもままあります。また,一人で会社と戦うのは不安がつきまとうものです。
弁護士に依頼した場合,初期の段階よりあなたにとって有利な対応をアドバイスしていきます。それにより,その後の交渉・法的措置にとって有利な証拠を確保でき,適切な対応をとることで,万全の準備が出来ます。また,継続的に相談が出来ることにより安心して仕事や生活を送ることができます。
会社側の対応は様々ですが,あなたを退職に追い込むために様々な働きかけをする事が多いのが実情です。労働者が会社に対し各種の請求を行い,対等な立場で交渉に臨むことは一般的には困難であることが多いといえます。そこで,弁護士は,あなたに代わり,情報収集のお手伝いをしたり,解雇の撤回等を求める通知を出したり,会社と交渉したり致します。弁護士の指導の下で適切な証拠が確保でき,弁護士が法的根拠に基づいた通知書を出し交渉することで,あなたにとって有利な結論を,裁判を使わずに勝ち取ることが可能です。
もし,会社があなたの要望に応じない場合は,裁判を起こします。
具体的には,労働審判手続,仮処分手続,訴訟手続などがありますが,事案に応じてあなたにもっとも適した手続を選択して,あなたの請求の早期実現を目指します。
最近では労働審判手続による解決水準が高まっており,かつ,同手続によって2~4か月間で解決を図ることが可能となっています。
→こちら
退職勧奨の方法が違法であり,不法行為を構成すると判断された例としては,①傷病により休職していた労働者が復職するに際し,上司5名が,約4ヶ月間に,復職について30数回の「面談」「話し合い」を行い,その中に約8時間に渡るものもあり,面談において「能力がない」,「別の道があるだろう」,「寄生虫」,「他の乗務員の迷惑になる」等と述べ大声を出したり,机を叩いたりし,また,労働者が断っているにもかかわらず,同人の寮にまで赴き面談して退職勧奨した事案について,その頻度,面談時間の長さ,言動は,社会通念上許される範囲を超えているとして,慰謝料請求を認めた事例(全日本空輸事件・大阪地判平11.10.18・労判772.9、同事件・大阪高判平13.3.14・労判809.61),②管理職が連日,勤務時間内外にわたり執拗に希望退職届を出すよう強く要請し,希望退職期間経過後は,暴力行為や仕事差別などの嫌がらせによって退職を強要したことについて慰謝料請求を認めた事例(エール・フランス事件・東京高判平8.3.27・労判709.69),③2名の高校教諭に対し,うち1名については4ヶ月の間に11回,もう1名については5ヶ月の間に13回に渡り,1回20分から2時間強に及ぶ退職勧奨を行い,その間,退職するまで勧奨を続ける旨を繰り返し述べたり,退職しない限り,所属教員組合の要求に応じないとの態度を示したり,研究物等の提出を求めたりしたことについて不法行為による慰謝料請求を認めた事例(下関高校事件・最判昭55.7.10・労判345.20),④夫婦でデザイナー業務に従事していた労働者に対し,2次にわたる退職勧奨をしたが,2次退職勧奨は,デザイン室の閉鎖を宣言し,デザイン室への発注を停止するものであり,仕事を取り上げてしまった事案について,「勧奨といいながら,デザイン室を閉鎖し,しかも,他への配転を検討することもなく,退職を勧奨することは,退職の強要ともいうべき行為であり,その手段自体が著しく不相当」として不法行為の成立を認めた事例(東光パッケージ[退職勧奨]事件・大阪地判平18.7.27・労判924.59)などがあります。