不当解雇の無料法律相談 お客様の声

不当解雇に関するQA

解雇とは?

様々な解雇理由

人員整理・リストラ(整理解雇)

懲戒解雇

残業代,未払賃金の請求

雇い止め

不当な配置転換・出向・転籍

内定取消・採用延期

セクハラ,パワハラ

病気による休職

退職

その他の質問

労働問題 労働審判 弁護士

不当解雇.com > 懲戒解雇 > 競業行為・兼職

競業行為・兼職をしたことにより懲戒解雇されるのか?

競業行為・兼職

事例

私は,本業としてタクシーの運転手をしていますが,生活費の不足を補うために,会社に無断で,就業時間開始前である午前3時から同5時まで新聞販売店にアルバイトとして勤務し,新聞配達業務などをしています。ところが,先日,そのことが会社に知れてしまい,会社から,就業規則の懲戒事由である「会社の承認を得ないで在籍のまま他に雇われたとき」に該当するとして,懲戒解雇を言い渡されました。
このような場合,懲戒解雇は認められるのでしょうか。

不当解雇

回答

勤務時間外の時間については,本来,使用者の支配が及ばないため,会社の職場秩序に影響せず,かつ会社に対する労務の提供に格別の支障を生ぜしめない程度・態様の二重就職は禁止規定に違反しないと考えられます。従って,アルバイト等の一時的雇用は,原則として禁止される兼業に含まれないといえます。但し,当該兼業が,就業規則の兼業禁止規定に違反するか否かは,兼業の業務の内容をみて判断する必要があります。そのため,一時的雇用であっても,労働者の誠実に労務提供をする義務に違反するような業務に従事する場合は,就業規則の兼業禁止規定に違反するとされる可能性があります。具体的には,本業を不能又は困難とし,又は,企業秩序を著しく乱すような場合は兼業禁止規定に違反する場合があります。ただ,問題のある兼業が発覚した場合,直ちに懲戒解雇処分をすることは難しいでしょう。



不当解雇の無料法律相談は0120-3131-45 または法律相談ご予約フォームから

解説

1 在職中の競業避止義務

多くの会社の就業規則では,「会社の許可なく他人に雇い入れられること」を禁止し,その違反が懲戒事由として定められています。労働者は,雇用契約を締結することにより,労務提供義務を負担しますので,就業時間中に他社で就労することは,労務提供義務に違反します。もっとも,労務提供義務とは,所定労働時間中,労務に従事すべき義務ということであり,生活全般にわたり使用者の支配に服さなければならないものではありません。従って,就業時間外の余暇は,原則として,労働者が自由に利用できるものです。
しかし,就業時間外であっても,会社に在籍しながら他社で就労する場合は,しばしば疲労を蓄積させることとなり,使用者に対する完全な労務提供をなし得ない事態も生じ,または,兼業の内容・兼業先いかんによっては,会社の信用問題となったり,企業秘密やノウハウ等を漏えいしたりして,企業秩序を乱す場合も生じ得ます。
労働者は,労務提供義務のほか,付随的に誠実義務,つまり,秘密保持義務,競業禁止義務,使用者の名誉・信用を毀損しない義務等を負っています。従って,競業行為や兼職が原因で労務提供が不能または困難となる場合には,単なる債務不履行にとどまらず,企業秩序を乱すことになりますし,兼職先によっては,誠実義務に違反することもあります。そこで,使用者は,合理的な理由があれば,労働者の兼職を禁止し,これに違反した場合には,懲戒処分や損害賠償請求がなされることもあります。

2 競業避止義務違反

どのような行為が競業会社避止義務違反となるかは,個々の事案毎に判断するしかありません。在職中から競業会社の設立準備を行ったり,引き抜き行為を積極的に行ったり,競業会社に秘密情報を漏らして便宜を図るなど,使用者の利益を著しく損ねる悪質な行為は,競業避止義務違反として,懲戒処分の対象となったり,退職金の減額・没収事由とされたり,損害賠償請求をされることがあります。

3 兼業

所得を補填するために勤務時間外に他で働いたり,自ら事業を営むことを「兼業」といいますが,兼業は使用者の事業と競合しない限り,競業避止義務の問題は生じないと考えられます。なぜなら,勤務時間外はそもそも労働者の自由な時間であり,会社の支配が本来及ばないからです。
ただ,無制限に兼業が認められるわけではなく,本業に影響を与えるような態様や内容の兼業は制限され得ます。具体的には,本業を不能又は困難としたり,企業秩序を著しく乱したりするようなものは,競業避止義務の問題となります。

4 懲戒解雇の可否

上記のとおり競業避止義務違反や兼業により懲戒解雇ができるか否かはケースバイケースで判断されますが,会社の企業秩序に影響せず,会社に対する労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度のものであれば,場合によって普通解雇が正当化されることは有り得ますが,懲戒解雇をすることは一般的に難しいでしょう。

解説

1 まずは弁護士に相談!

解雇された又はされそうなあなたが採れる手段は,ケースバイケースですが,直ちに解雇の撤回・復職を求めたり,あなたが解雇されなければもらえたはずの賃金を請求したり,不当解雇による損害賠償を請求したりすること等が挙げられます。
まずは,なるべく早くご相談下さい。相談が早ければ早いほどとりうる手段は多いものです。
弁護士は,あなたのご事情を伺い,具体的対応策をあなたと一緒に検討し,最善の解決策をアドバイスします。
不当解雇.COMでは,解雇等された方のご相談については,初回30分間を無料で承っております。
あなたのケースでは解雇は有効になるのか否か,具体的な対策として打つべき手は何か,証拠として押さえておくべきものは何か等をアドバイスします。

2 証拠の収集

法的措置をとる場合はもちろん,交渉による解決を目指す場合も,証拠の確保が極めて重要になります。あなたにとって有利な証拠を出来るだけ確保して下さい。

3 会社との交渉

まずは,法的措置を用いず,会社と交渉して,あなたの望む結果(解雇を撤回,復職,未払残業代の支払い,より有利な条件での退職等)が得られるようにします。
会社側の対応は様々ですが,あなたを退職に追い込むために様々な働きかけをする事が多いのが実情です。

4 裁判

会社があなたの要望に応じない場合は,裁判を起こします。具体的には,賃金仮払い仮処分手続,労働審判手続,訴訟手続などがありますが,事案に応じてあなたにもっとも適した手続を選択して,あなたの請求の実現を目指すことになります。

弁護士に依頼した場合

1 弁護士はあなたのパートナーです。

不当解雇され自信を失ったあなたは,家族・友人にも中々相談できず,一人苦しんでいませんか?安心してください。弁護士はあなたの味方となり,親身に話しを聞いて,今後の対応を一緒になって考えます。弁護士はあなたに共感し,あなたと一緒になって戦うパートナーです。

2 継続的な相談・コンサルティング

不当解雇と闘う場合,ケースバイケースに採るべき対応策や確保すべき証拠も異なります。また,時々刻々と状況が変わっていき,その都度適切な対応をとることが必要です。この対応が間違っていた為に,その後の交渉や法的措置の段階で不利な状況に立たされることもままあります。また,一人で会社と戦うのは不安がつきまとうものです。
弁護士に依頼した場合,初期の段階よりあなたにとって有利な対応をアドバイスしていきます。それにより,その後の交渉・法的措置にとって有利な証拠を確保でき,適切な対応をとることで,万全の準備が出来ます。また,継続的に相談が出来ることにより安心して仕事や生活を送ることができます。

3 あなたに代わって会社に対し請求・交渉をします。

会社側の対応は様々ですが,あなたを退職に追い込むために様々な働きかけをする事が多いのが実情です。労働者が会社に対し各種の請求を行い,対等な立場で交渉に臨むことは一般的には困難であることが多いといえます。そこで,弁護士は,あなたに代わり,情報収集のお手伝いをしたり,解雇の撤回等を求める通知を出したり,会社と交渉したり致します。弁護士の指導の下で適切な証拠が確保でき,弁護士が法的根拠に基づいた通知書を出し交渉することで,あなたにとって有利な結論を,裁判を使わずに勝ち取ることが可能です。

4 あなたに代わって裁判を起こします。

もし,会社があなたの要望に応じない場合は,裁判を起こします。
具体的には,労働審判手続,仮処分手続,訴訟手続などがありますが,事案に応じてあなたにもっとも適した手続を選択して,あなたの請求の早期実現を目指します。
最近では労働審判手続による解決水準が高まっており,かつ,同手続によって2~4か月間で解決を図ることが可能となっています。

判決事例

競業行為・兼職を理由とする懲戒解雇等が無効と判断された事例

定森紙業事件

大阪地決平成元.6.28労働判例545-12
(事案の概要)
Yは,和洋紙業並びに紙製品の販売を業とする会社であるところ,Xは,昭和52年2月にYに入社し,営業関係の事務を担当して勤務してきた(なお,Xの母がYの代表取締役社長,兄がYの代表取締役専務取締役をしているという事情があった)。
しかし,Xは,就業規則に定める懲戒事由である「会社の同意なく在職のまま他に勤務したとき」等に該当することを理由に,平成元年3月31日,Yより懲戒解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は,Xが,妻の経営する同種会社の営業に関与していた事実を認定した上で,「Xが他社の営業に関与したことは,形式的には解雇事由に該当するようであるが,Yに黙認さ れてきたことであり,かつそのことによってYに損害を及ぼしたとは認められないものであり,次いで,Xが集金した金銭をYに入金しなかったことは,職務上守るべき義務を怠ったものではあるものの,Xが着服(不法領得)の意図をもって入金しなかったとまでは認められないものといえる。ほかには,Xに解雇事由に該当する事実は認められない」,「解雇が従業員に重大な影響を及ぼすことはいうまでもなく,解雇を有効とするには単に形式的に解雇事由に該当する事実があるというだけでは足りず,解雇を相当とするやむをえない事情があることが必要であるが,Xの行為は解雇を相当とするやむをえない事情に当たるものとはとうていいえず,他に解雇事由に該当する事情もない」と判示して,懲戒解雇を無効と判断した。
(コメント)
本件は,(1)会社の同意なく在職のまま他に勤務したとき,(2)職場又は地位を利用し不当の金品その他を得,又は得んとしたとき,(3)許可なく職場の金品を私消したとき,又は持ち出し持ち出さんとしたとき,との就業規則の定めに該当する事由があることを理由とする懲戒解雇の効力が争われたものですが,本決定は,右解雇事由に相当する事実はないものとして,右懲戒解雇を無効なものと判示しました。

国際タクシー事件

福岡地判昭和59.1.20労働判例429-64
(事案の概要)
Yは,タクシー営業を目的とする株式会社であるところ,Xは,昭和52年4月1日,Yに入社し,正社員として雇用されていた。
しかし,Xは,就業規則の「兼職禁止規定」等に該当するとして,昭和56年4月13日,Yより懲戒解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は,Xが,父親経営の新聞販売店の業務に従事し,月収15万円の収入を得ていたことを認定した上で,「Xが,新聞配達業務に従事することにより,Yの営業,業務管理等に具体的な悪影響を与えた旨の疎明のないことをあわせ考えると,Xのこの時期の新聞販売業への従事が,兼職禁止規定に該当するとしても,これを理由に懲戒解雇まですることは,債権者の蒙る不利益が著しく大きく,解雇権の濫用として許されないところというベきである」と判示して,懲戒解雇を無効と判断した。
(コメント)
本件は,仮処分異議事件であり,原決定(福岡地決昭56・9・17)は,「企業秩序に影響せず,企業への労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度の兼職は,就業規則で禁止している兼職にあたらないと解するのが相当である。」としたうえで,昭和55年7月~10月の本件兼職は右禁止された兼職には該当せず,それに対し,同55年11月~56年3月の本件兼職は右禁止された兼職に該当するが,(ア)本件新聞販売店業務はYの正規の時間外に行なわれていること,(イ)タクシーを新聞販売店への通勤に利用したことは就業規則違反であるが,これに対応する懲戒は出勤停止であること,(ウ)Yへの実害は少なく,この間のXの運収は増加していること,(エ)懲戒解雇になると,福岡市乗用自動車協同組合加盟の他社への再就職が困難になること,(オ)本件懲戒解雇時には,Xはすでに本件兼職をやめていたこと等を総合考慮すると,本件懲戒解雇は苛酷にすぎ,権利の濫用というべきであるとしていました。但し,本件の場合は,通常の兼業禁止にかかわる事件の場合と異なって,昭和55年11月以降の兼業は就業時間とかさなり合う部分があり,また,Yの車を利用・放置しているという面があります。その意味では,まさに,本来的意味での兼業禁止にかかわるものであったといえます。

東版事件

東京地判昭和59.2.28労働経済判例速報1184-17
写植印字印刷会社の写植工が,病気欠勤中に元同僚が設立した競合会社に何回か遊びに行き,その際に元同僚から頼まれるままに写植作業を手伝い報酬を受け取った事案につき,極めて軽率ではあるが,常勤として仕事をしたわけではなく,また,会社において機密事項を扱う立場になかったことを考えると,禁止される兼業には該当しないとした。

十和田運輸事件

東京地判平成13.6.5労働経済判例速報1779-3
家電製品を各小売店に配送する業務に従事する運送会社の運転手が,運送先の小売店から家電製品を引き取り,リサイクルショップから代価を受けていたが,これらの行為は年2回程度にすぎない事案につき,会社の業務に具体的に支障を来したことはなく,信頼関係を破壊したとまではいえないとして,就業規則に定める「許可なくして他の職業に従事したとき」に該当するとしてなした解雇を無効とした。

競業行為・兼職を理由とする懲戒解雇等が有効と判断された事例

キング商事事件

大阪地判平成11.5.26労働判例761-17
(事案の概要)
Yは,コンピューター等に使用する出力用連続用紙の製造販売等を業としている会社であり,Xは,昭和36年7月1日,Yに雇用され,営業部門及び工場部門を中心として勤務してきた。この間,昭和49年2月に取締役に就任し,それ以来,平成8年3月5日まで取締役を兼務してきた。
しかし,Xは,Yの許可を受けないで在籍のままで他の会社の取締役に就任してその業務に従事したこと等を理由に,平成8年2月26日,Yより懲戒解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は,「原告(筆者注:X)は,被告(筆者注:Y)には秘密裏にキング商事販売に出資して取締役に就任しているが,これは,就業規則20条1号の服務規律違背であり,懲戒解雇事由にも該当するものであるというべきであり(同61条1号),また,原告は,第一営業部従業員全員を新会社へ移籍させるべく,退職届を提出させてこれをとりまとめ,部下に命じて,新会社のために被告の顧客情報等を複写して持出させたり,新規顧客を新会社の顧客として取り扱うよう指示したりしているのである(原告は,これが,顧客情報の盗出しではないなどというが,社長である正夫が強く分社に反対している状況下において,被告が右顧客情報の提供に任意に応じるとは到底考えられないところであり,そうであるからこそ,原告らも被告には秘密裏に顧客情報の複写等を行っているのであって,まさに顧客情報の盗み出し以外の何者でもない。)が,これらもまた,就業規則20条1,3,5号の服務規律違背であり,懲戒解雇事由にも該当するものであること(同61条1号)は明らかというべきである。」と判示して,懲戒解雇を有効と判断した。

日通名古屋製鉄作業事件

名古屋地判平成3.7.22労働判例608-59
(事案の概要)
Yは,新日鉄名古屋製鐡所における製品および原材料の運搬ならびに各種荷役作業を業とする株式会社であるところ,Xは,昭和42年12月,大型特殊自動車運転手としてYに入社し,新日鉄名古屋製鐡所の構内輸送の業務に従事してきた。
しかし,Xは,就業規則に定める懲戒事由である「社命又は許可なく他に就職したとき」に該当することを理由に,昭和60年3月29日,Yより懲戒解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は,Xが,タクシーの運転手として公休日の前後を利用し,1か月に4,5回の割合で勤務していた事実を認定した上で,「労働者が就業時間外において適度な休養をとることは誠実な労務の提供のための基礎的条件であり,また,兼業の内容によっては使用者の経営秩序を害することもありうるから,使用者として労働者の兼業につき関心を持つことは正当視されるべきであり,労働者の兼業を使用者の許可ないし承認にかからせることも一般的には許されると解される」,「Xの兼業が継続的な雇用契約によるものか,単なるアルバイト的なものであるのかは必ずしも判然としないが,その勤務時間は,場合によってはYの就業時間と重複するおそれもあり,時に深夜にも及ぶもので,たとえアルバイトであったとしても,余暇利用のそれとは異なり,Yへの誠実な労務の提供に支障を来す蓋然性は極めて高いといわなければならない。したがって,仮に前記就業規則の定めがいわゆるアルバイトを含めて一切の兼業を禁止するものとは解し得ないとしても,Xの本件兼業が前記就業規則の禁止する兼業に該当することは明らかであり,本件証拠中に現れたYの他の従業員にみられる兼業とは性質を異にするといわなければならない」と判示して,懲戒解雇を有効と判断した。
(コメント)
本件二重就職は,かなりの程度,無茶な「兼業」であり,兼業していた期間には腰痛症を主張して職務軽減等を受けている期間も含んでいること等からすれば,相当に背信的であり,それが本判決の結論に至らしめたものと推測されます。

小川建設事件

東京地判昭和57.11.19労働判例397-30
(事案の概要)
Yは,総合建設業,一般土木建築工事業等を業とする株式会社であるところ,Xは,昭和55年2月25日,Yに雇用され,以来,東京都町田市所在の町田営業所に事務員として勤務してきた。
しかし,Xは,就業規則に定める兼業禁止規定に違反することを理由に,昭和57年1月25日,Yより普通解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は,「法律で兼業が禁止されている公務員と異なり,私企業の労働者は一般的には兼業は禁止されておらず,その制限禁止は就業規則等の具体的定めによることになるが,労働者は労働契約を通じて一日のうち一定の限られた時間のみ,労務に服するのを原則とし,就業時間外は本来労働者の自由であることからして,就業規則で兼業を全面的に禁止することは,特別な場合を除き,合理性を欠く。しかしながら,労働者がその自由なる時間を精神的肉体的疲労回復のため適度な休養に用いることは次の労働日における誠実な労働提供のための基礎的条件をなすものであるから,使用者としても労働者の自由な時間の利用について関心を持たざるをえず,また,兼業の内容によっては企業の経営秩序を害し,または企業の対外的信用,体面が傷つけられる場合もありうるので,従業員の兼業の許否について,労務提供上の支障や企業秩序への影響等を考慮したうえでの会社の承諾にかからしめる旨の規定を就業規則に定めることは不当とはいいがたく,したがって,同趣旨のYの就業規則の規定は合理性を有するものである」,「Xは,Yの採用面接にあたって他へ二重就職する予定であることをYに告知し,Yはこれにつき黙示の承諾を与えた旨主張するが,本件疎明資料および審尋の結果によれば,Xは,Yの採用面接に際し,月給として最低13万円を希望し,月給が13万円に満たない場合には他にアルバイトすることも考えなければ生活していけない旨を述べたことは窺われるが,その後,実際にキヤバレーに勤務を始めるにあたって,XがYに対してその勤務先や勤務内容等を具体的に特定して二重就職の具体的承諾を求めたこと,あるいは,YがXの二重就職をすることを黙示に承諾していたことを認める疎明はなく,したがつて,Xの右キヤバレーへの勤務はYの就業規則に定める「会社の承諾を得ないで在籍のまま他に雇われたとき」に該当するものと認めることができる」と判示して,解雇を有効と判断した。
(コメント)
本件は,二重就職を理由とする解雇(懲戒解雇事由に該当することを理由とし,普通解雇に転換)の効力が争われたものですが,本判決はこれを有効としました。

日本教育事業団事件

名古屋地判昭和63.3.4判例タイムズ683-113
(事案の概要)
Yは,大手出版社である訴外A会社が供給する教材の販売等を主な営業とするものであり,Xらはその中部,関西地区の支店,営業所における従業員であった。
Yの幹部従業員であったXらの一部は,在職中にYがA会社から供給を受けて販売している教材と同一の教材の販売等をする会社の設立を企図し,その余のXらを含むYの従業員の大量引き抜きを図るなどし,これを阻止しようとするY側との間で紛争が生じ,この過程の中でXら全員が懲戒解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は,「原告(筆者注:X)1は,被告(筆者注:Y)の最高級の幹部職員であり,被告に対する高度の忠実義務を負うものと解されるところ,在職中に,被告の営業と完全に競合して,同一の学研商品を同一の方法で販売することを企て,その意図の下に被告の基本的な経営方針に反対の意向を表明して重要な会議中に自己の職務を放棄して無断で中途退席し,更に,自己の被告における地位を利用して部下の従業員らに対する大量引き抜きを図ったものであり,これが実現されれば被告に重大な損害を与えることは明らかであり,これに対処するために被告のとった同原告に対する本社総務部への配置換えはその標性が十分首肯できる正当なものであるから,これら同原告の一連の行動は被告に対する重大な忠実義務違反であると評価することができ,被告就業規則41条(懲戒解雇の基準)の3(故意に会社の服務規定その他諸規則・通達に違反したとき),5(上司の命令に従わず職場秩序を乱したとき)の各号に該当するものであって原告に対する懲戒解雇は有効なものというべきである。」とした。
(コメント)
本判決は,懲戒解雇の主張については,Xらのうち幹部従業員について競業避止義務違反,忠実義務違反を認めて懲戒解雇を有効なものとし,その余のXらについて上司である幹部従業員の指示に従ったに過ぎない側面もあること,積極的にY会社に不利益な行為をしたと認めるに足りる証拠がないこと,幹部従業員らによって惹起された混乱を収拾するという組織防衛上の利益を重視し過ぎていることなど判示事実関係のもとでは処分の均衡を失した権利濫用であるとして懲戒解雇を無効としたうえで,Xらの主張どおり通常解雇の限度でその効力を認め,解雇予告手当及び附加金の支払を命じました。

エープライ事件

東京地判平成15.4.25労働判例853-22
(事案の概要)
Xは,各種工業用及び家庭用電気機械器具の販売及び設置工事等を業とする株式会社であるところ,Yは,平成5年7月1日,Xに雇用され,平成6年12月16日から同11年7月ころまで九州支社の責任者であったが,白社製品を他社に送付するように指示し,受注予定であった売買の買主を同業他社に紹介するなどして,会社に損害を与えたとして,同年8月6日懲戒解雇をされた。Xは,Yに対し,雇用契約上の債務不履行または不法行為に基づく損害賠償を請求した。
(裁判所の判断)
裁判所は,「Yの各行為は,使用者の利益のために活動する義務がある被用者が,自己又は競業会社の利益を図る目的で,職務上知り得た使用者が顧客に提示した販売価格を競業会社に伝えるとともに,競業会社を顧客に紹介したり,競業会社が使用者の協力会社であるかのように装って競業会社に発注させたり,上司に競業会社がより安い価格で顧客と契約する可能性があることを報告しなかった行為であるから,雇用契約上の忠実義務に違反する行為であるとともに,Xの営業上の利益を侵害する違法な行為であるというべきである。」と判示して,XのYに対する損害賠償請求を認めた。
(コメント)
労働者が,労働契約の存続中に,使用者の利益に著しく反する競業行為を行ったため,就業規則の規定に従った懲戒処分,損害賠償請求がなされた事案です。

不当解雇の無料法律相談は0120-3131-45 または法律相談ご予約フォームから
弁護士 の ホームページ制作 なら 弁護士WEB