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服務規律違反で解雇できる?

服務規律違反で解雇できる?

事例

私は,ギャンブルに手を出してしまい,生活費に困ったため,つい会社のお金を横領してしまいました。会社を辞めさせられるのは覚悟していたのですが,会社は,就業規則に記載された本人に弁明の機会を与える等の手続を省略していきなり懲戒解雇の処分をしてきました。このような場合,解雇は認められるのでしょうか?

不当解雇

回答

懲戒処分を行う際には,適正手続の保障が要求され,就業規則(または労働協約)上,組合との協議等が要求される場合は,その手続を遵守すべきですし,そのような規定がない場合にも本人に弁明の機会を与えることが最小限必要とされます。多くの場合,これらの弁明の機会が与えられない懲戒処分は,軽い処分についてささいな手続上のミスがあるに過ぎないとされるものでない限りは,懲戒権の濫用として無効とされる可能性が高いといえます。



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解説

ほとんどの企業では,「服務規律」と称される社員の行為規範が就業規則で定められています。そして,服務規律違反が,その態様からみて企業秩序を乱していると認められる場合は,懲戒解雇事由に該当することがあります。懲戒解雇事由としての服務規律違反の主なものは,競合会社の設立,横領・着服,不正行為(不正経理),暴言・暴行,反抗的態度,業務妨害,業務命令違反などです。
懲戒解雇とは,企業秩序違反行為に対する制裁罰である懲戒処分として行われる解雇のことです。但し,懲戒すべき事由があるからといって,使用者は自由に労働者に対し懲戒処分をすることはできず,「使用者が労働者を懲戒することが出来る場合において,当該懲戒が,当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的理由を欠き,社会通念上相当と認められない場合は,その権利を濫用したものとして,当該懲戒は無効とする」(労働契約法15条)として,法律で懲戒処分の濫用は禁じられています。
それゆえ,一般的には懲戒解雇処分は次のとおりの要件を満たす必要があります。
(1) 懲戒事由等を定める合理的な規程が存在すること
ア 就業規則等に懲戒事由及び懲戒の種類が明定されていること
イ アの定めが労働者に周知されていること
ウ アの規程の内容自体が合理的であること
(2) (1)の規程に該当する懲戒事由が実際に存在すること
(3) 適正手続を経ていること
就業規則や労働協約上,経るべき手続が定められている場合は,この手続を経る必要があります。また,このような規程が無い場合でも,本人に弁明の機会を与えることが最小限必要となります。
(4) 解雇規制に反しないこと
解雇の一種であるため,労働契約法16条(解雇権濫用)や個別法令上の解雇制限にも服します。
判例上,典型的な懲戒事由としては,①経歴詐称,②職務懈怠,勤怠不良,③業務命令違反,④業務妨害,⑤職場規律違反,⑥私生活上の犯罪,非行,などがあります。

解説

1 まずは弁護士に相談!

解雇された又はされそうなあなたが採れる手段は,ケースバイケースですが,直ちに解雇の撤回・復職を求めたり,あなたが解雇されなければもらえたはずの賃金を請求したり,不当解雇による損害賠償を請求したりすること等が挙げられます。
まずは,なるべく早くご相談下さい。相談が早ければ早いほどとりうる手段は多いものです。
弁護士は,あなたのご事情を伺い,具体的対応策をあなたと一緒に検討し,最善の解決策をアドバイスします。
不当解雇.COMでは,解雇等された方のご相談については,初回30分間を無料で承っております。
あなたのケースでは解雇は有効になるのか否か,具体的な対策として打つべき手は何か,証拠として押さえておくべきものは何か等をアドバイスします。

2 証拠の収集

法的措置をとる場合はもちろん,交渉による解決を目指す場合も,証拠の確保が極めて重要になります。あなたにとって有利な証拠を出来るだけ確保して下さい。

3 会社との交渉

まずは,法的措置を用いず,会社と交渉して,あなたの望む結果(解雇を撤回,復職,未払残業代の支払い,より有利な条件での退職等)が得られるようにします。
会社側の対応は様々ですが,あなたを退職に追い込むために様々な働きかけをする事が多いのが実情です。

4 裁判

会社があなたの要望に応じない場合は,裁判を起こします。具体的には,賃金仮払い仮処分手続,労働審判手続,訴訟手続などがありますが,事案に応じてあなたにもっとも適した手続を選択して,あなたの請求の実現を目指すことになります。

弁護士に依頼した場合

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不当解雇と闘う場合,ケースバイケースに採るべき対応策や確保すべき証拠も異なります。また,時々刻々と状況が変わっていき,その都度適切な対応をとることが必要です。この対応が間違っていた為に,その後の交渉や法的措置の段階で不利な状況に立たされることもままあります。また,一人で会社と戦うのは不安がつきまとうものです。
弁護士に依頼した場合,初期の段階よりあなたにとって有利な対応をアドバイスしていきます。それにより,その後の交渉・法的措置にとって有利な証拠を確保でき,適切な対応をとることで,万全の準備が出来ます。また,継続的に相談が出来ることにより安心して仕事や生活を送ることができます。

3 あなたに代わって会社に対し請求・交渉をします。

会社側の対応は様々ですが,あなたを退職に追い込むために様々な働きかけをする事が多いのが実情です。労働者が会社に対し各種の請求を行い,対等な立場で交渉に臨むことは一般的には困難であることが多いといえます。そこで,弁護士は,あなたに代わり,情報収集のお手伝いをしたり,解雇の撤回等を求める通知を出したり,会社と交渉したり致します。弁護士の指導の下で適切な証拠が確保でき,弁護士が法的根拠に基づいた通知書を出し交渉することで,あなたにとって有利な結論を,裁判を使わずに勝ち取ることが可能です。

4 あなたに代わって裁判を起こします。

もし,会社があなたの要望に応じない場合は,裁判を起こします。
具体的には,労働審判手続,仮処分手続,訴訟手続などがありますが,事案に応じてあなたにもっとも適した手続を選択して,あなたの請求の早期実現を目指します。
最近では労働審判手続による解決水準が高まっており,かつ,同手続によって2~4か月間で解決を図ることが可能となっています。

判決事例

服務規律違反を理由とする解雇が無効と判断された事例

日本臓器製薬(仮処分)事件
大阪地決平成12.1.7労働判例789-39
(事案の概要)
Yは医薬品の輸入,製造および販売を目的とする会社であるところ,Xらは,昭和42年4月から同54年4月までにYに雇用され,いずれも基幹店の支店長の職にあった者である。
しかし,Xらは,社外の人間が行ったYの組織と秩序に対する紊乱行為に加担したうえ,部下職員に対しても同調・加担を求めて署名活動をするなど,上記職責を担う社員としてあるまじき行動をとり,また,支店長職務を放棄し会社の経営方針に反対して会社前で座り込むという支店長にあるまじき行為をしたことなどを理由として,平成2年6月18日から同11年6月17日までに,Yより懲戒解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は,「Xらの行動は,現経営陣の失脚を謀った策動に積極的に加担する意図があったとは認められず,署名活動は,Yの発展を願い,その実現を期待したというにすぎないもので,現経営陣の失脚まで狙ったものではなく,従業員に混乱を生じた原因は,Yが早期の段階で,これをクーデターと断定したことによるところが大であって,その責任をすべてXらに負わせることは酷である」,「座り込みは,管理職組合のストライキとして行われたものであるから,これを理由に懲戒処分をすることはできないというべきである」などと判示して,(Xらの行為は)就業規則所定の懲戒解雇事由に該当しないと判断した。
(コメント)
なお,同事件の本訴(大阪地判平成13.12.19労判824-53)では,Xらの署名活動は,Yの経営陣の更迭を求め,訴外某の擁立を図る目的で行われたものであって,Yの4支店の範囲で,多数の社員を巻き込んで行われたものであり,Yの秩序を乱す行為ということができるから,Xらの行為は,就業規則所定の懲戒解雇事由に該当するとして,Xら管理職に対する懲戒解雇処分は有効と判断されています。

カジマ・リノベイド事件
東京地判平成13.12.25労働判例824-36
(事案の概要)
Yは土木建設構造物の補修・補強等を業とする株式会社であるところ,Xは,平成7年6月1日にYに入社し,同社工務部(工事現場のマネージメント業務を行う部署)において,見積り,契約,出来高管理,労務安全管理等の業務に従事していた。
しかし,上司・同僚に対する侮辱的な言動等によって業務に支障を来したことを理由に,平成9年4月18日,Yより普通解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は,Xが,経理担当者が下請基本契約書の日付を誤って記載した時,上司に対し「上司がしっかりと引継ぎをしなかったからである」と言ったり,また,上司から指示を受けた際,「ネチネチと話をする」と面と向かい言ったり,さらに,コピーをしない理由として,隣席の女子社員が昼寝する時間があるならばその女子社員がコピーをすればよいとの発言を全員の中で行い,職場内の雰囲気を著しく乱したりしたことなどを認定した。
その上で,「これらの事情は,上司と部下との意見の対立や行き違いを原因とするものにすぎないなど,社会通念等の観点からして重大な問題であるとまではいい難いこと,Yの業務に支障を来した程度も,社会通念上さほど重大なものとはいえないこと,本件全証拠をみても,Yは,一連のけん責処分に対するXの反論や対応を見極めて,Xと対話するなどといった方策を十分講じたとは認め難いこと,Yにおいては,労働契約関係を維持したままする,けん責を上回る程度の懲戒処分として,減給,出勤停止等があるが,弁論の全趣旨によれば,Yには,このような他の懲戒処分を行うことに特段支障はなかったものと認められること等の点にかんがみれば,本件解雇の解雇理由となるべき事情を総合考慮しても,本件解雇は権利(解雇権)の濫用として無効であると解するのが相当である」と判示して,本件解雇は無効であるとした。
(コメント)
同事件の控訴審判決(東京高判平成14.9.30労判849-129)は,本件解雇は解雇権の濫用に当たらず有効としました。一・二審の結論の基本的な対立は,会社の指示,規則に反するXの仕事の仕方,上司誹謗の言動が,服務規律違反として解雇に相当するか,解雇が権利の濫用に当たるかどうかの判断の差異にあります。Xの行為が就業規則所定の解雇事由に形式的に該当することについては,一審も認めているところですが,その規律違反の度合いを一審のように「社会通念上,さほど重要でない」とみるか,二審のように「一つ一つの事実は些細にみえても,企業全体としての統一性,職場全体の秩序,人間関係への悪影響からすれば,重大な服務規律違反行為」とみるかによって結論が全く異なったのだといえます。

服務規律違反を理由とする解雇が有効と判断された事例

1 競合会社の設立・一斉退職を理由とするもの

日本コンベンションサービス事件
大阪地判平成8.12.25労働判例711-30
(事案の概要)
Yは国際会議,学会,イベントの企画・運営を主たる業務とする会社であるところ,Xらは,昭和49年6月21日から同60年9月16日までにYに雇用された。
しかし,Xらは,Yと競合する会社の設立に参画して,会社の業務を著しく阻害し,かつ会社の信用を毀損して就業規則に違反したことを理由に,平成2年7月13日,Yより懲戒解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は,XらのうちYの支社次長の職にあった者が,在職中に同種の事業を営む新会社の設立を計画し,それを朝礼で発表し新会社への参加を呼びかけ,さらに他の支店の従業員に対しても新会社への参加を呼びかけ,支社の書類・物品を持ち出したことを認定した上で,「その行為は,これまでの功績を失わしめるほどの重大な背信行為というべきであるので,退職金を支給しないこととなっても,やむを得ないというべきである」と判示して,当該支社次長の職にあった者に対する懲戒解雇を有効と判断した。
(コメント)
本判決の特徴としては,まず,労働者の退職後の競業避止義務を,例えば営業秘密といえるような性質のものに限定的に解釈する判例の流れに立っていることが挙げられます。さらに本判決は,競業避止義務の要件として,代償措置の存在を不可欠としています。
また,退職金の不支給につき,本判決は,退職金の功労報償的性質を理由に,労働者に顕著な背信性が認められる場合に限り(不支給を)有効とする判例の流れに立っています。

日音(退職金)事件
東京地判平成18.1.25労働判例912-63
(事案の概要)
Yは,各種音響設備の設計・施工及び管理業等を業としており,カラオケ設備の販売とレンタルを中心業務としている会社であるところ,Xらは,昭和51年3月29日から平成10年6月15日までにYに雇用された。
しかし,Xらは,Yに事前に連絡なく一斉に退社し,Yの本社営業部等の機能を麻痺させたこと等を理由に,平成15年7月25日までに,Yより懲戒解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は,Xらが,代表取締役も同一であり,両社間における人事異動も会社内部における人事異動のように相互に行われている関連会社の従業員が大量に退職したことに呼応し,①事前に一切の連絡なく一斉に退社し,Yの本社営業部等の機能を麻痺させたこと,②後任者にYの事務を引き継ぐことなく退社し,このような行為がY本社等を大混乱に陥らせることを認識していたこと,③退社に当たり,Yの了解なく無断で在庫商品を社外に運び出したり,パソコン内の顧客台帳,リース台帳等のデータをフロッピーに移記して持ち出し,パソコン内のデータを消去してしまう行動に出ていることを認定した。
その上で,「これらの事実に照らすと,Xらには,労働義務の不完全履行(服務規律違反),職場秩序を乱す場合(就業規則又は他の諸規則違反)に該当する事由が存在するというべきである。したがって,Xらには,懲戒解雇事由に該当する事由が存在」すると判示して,懲戒解雇を有効と判断した。

キング商事事件 大阪地判平成11.5.26労働経済判例速報1712-20
コンピュータ等に使用する出力用連続用紙の製造販売を業とする会社の営業部長が,秘密裏に競合会社に出資して取締役に就任し,営業部員全員を新会社に移籍させるため,退職届を提出させてこれらを取りまとめ,部下に命じて新会社のために顧客情報を複写して持ち出させたり,新規顧客を新会社の顧客として取り扱うよう指示した事案につき,服務規律違反であり,懲戒解雇事由に該当するとした。

2 横領・着服を理由とするもの

上田株式会社事件
東京地決平成9.9.11労働判例739-145
(事案の概要)
Yは塗料等の加工製造販売等を業とする株式会社であるところ,Xは,平成元年2月,Yに入社して経理課で勤務していた。
しかし,金券横領,私文書偽造を理由に,平成9年3月26日,Yより普通解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は,Xが,Y名義のクレジットカードの利用明細書添付のクーポン券を集め,応募用紙にY名義を冒用して,カード会社より総額約14万円相当の商品券を取得した事実を認定した上で,「Xの一連の行為の態様,程度や事件発覚後のXの反省態度の欠如などといった情状を考慮すれば,たとえXに対する本件解雇が懲戒処分としての意味合いを有するものであるとしても,Yが懲戒処分としての出勤停止ではなく,普通解雇を選択したことが不相当なものであるとまでいうことはできない」,「本件解雇は懲戒解雇事由にも該当する相当な解雇理由が存在し,かつ,その手段も不相当なものではなく,本件解雇に先立つ組合との団体交渉においても,不当労働行為に該当するような事実は認められないのであるから,YのXに対する退職勧奨の方法に問題があったことを考慮しても,本件解雇が解雇権の濫用にあたるということはできない」と判示して,本件解雇は有効と判断した。
(コメント)
本件は,経理課員の6年間にわたる不正行為を理由とする普通解雇が,解雇権濫用の法理に照らして,有効か否かが争点となった事案ですが,本決定では,Xの担当する職務(経理業務)および事件発覚後のXの態度などからみて,Xに職務適格性を疑わせるものがあるために,解雇の相当性が肯定されたものと考えられます。

西鉄自動車事件
福岡地判昭和60.4.30労働経済判例速報1236-15
バス・タクシーの運転手による料金の着服について,着服した金額の多寡を問わず,懲戒解雇を有効とした。

東日本旅客鉄道(懲戒解雇)事件
東京地判平成13.10.26労働経済判例速報1791-3
鉄道会社で輸送係として旅客及び会社関係者から届けられる遺失物の処理を担当していた労働者が,警察署から受領した遺失還付金を納金せず着服し,また警察署から受領した同還付金を約1か月にわたり,所定手続を採らずに放置したことを理由とする懲戒解雇を有効とした。

前橋信用金庫事件
東京高判平成1.3.16労働経済判例速報1355-12
信用金庫の業務推進部に所属する調査役が,顧客から集金した金銭のうち1万円を着服した事案につき,懲戒解雇を有効とした。

大分鉱業事件
大分地決平成9.3.19労働経済判例速報1639-5
石灰石の採掘販売会社の従業員が,石材製品の加工販売部門の廃止に伴い,在庫品である石灯籠1基を20万円で売却しながら,売却代金を会社に入金せず,石材製品の加工販売部門の引継先会社に入金し,また,在庫品リストから箱庭と大型テーブルを除外し,同じく引継先会社に引き渡した事案につき,懲戒解雇を有効とした。

3 不正行為を理由とするもの

サンワード貿易事件
名古屋地判平成14.6.28労働判例831-91
(事案の概要)
Yは,商品取引法の適用を受ける商品取引所の会員として,各市場における上場商品の売買取引及び受託業務を営む会社であるところ、Xは,平成9年4月,Yに雇用され,同年5月から,Yの名古屋支店長として,Yの顧客との商品取引の委託取引の業務に従事していた。
しかし,Xは,Yの名古屋支店長に在職中,借名口座で商品取引を行ったことを理由に,平成11年10月8日,Yより懲戒解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は,Xが複数の借名口座による取引を行い,その中には自己の資金で売買を行ったものもあり,それらの取引実績に基づきYから報奨金の支払いを受けたが,上記の不正行為につきYから事情聴取を受けた際,全容を明らかにしなかったことを認定した。
その上で,「(Xの行為は)Yの就業規則で定める懲戒事由に該当するものと認めることができ,本件懲戒解雇は,Yの就業規則所定の懲戒事由に該当する事由に基づき,懲戒権の行使として行われたものと認めることができる」と判示して,懲戒解雇を有効と判断した。

ナショナルシューズ事件
東京地判平成2.3.23労働経済判例速報1393-13
松下電器産業事件
大阪地判平成2.5.6労働経済判例速報1401-3
取引先に対し,リベートや金品を要求,受領した事案につき,懲戒解雇を有効とした。

阪神百貨店事件
大阪地決昭和63.4.26労働経済判例速報1327-3
架空売上げを計上する不正行為をした事案につき,懲戒解雇を有効とした。

バイエル薬品事件
大阪地決平成9.7.11労働経済判例速報1665-22
20万円以下の消耗品購入の権限しか与えられていない者が,業務に必要な消耗品140品種以上に小分けして購入したように不正納品書及び請求書を提出させて,業務に不要な高額の器材を購入した事案につき,懲戒解雇を有効とした。

日本国際酪農連盟事件
東京地判平成10.4.22労働経済判例速報1672-8
酪農及び乳牛の調査研究を行う社団法人の事務局長が,不正経理を行い,自己の引っ越し費用名下及び家賃補助名下に合計50万円を取得した事案につき,懲戒解雇を有効とした。

4 暴行・暴言を理由とするもの

南労会事件
大阪地判平成12.5.1労働判例795-71
(事案の概要)
Yは,診療所および病院を経営する医療法人であり,Xは,昭和62年4月16日,Yに雇用され,Yが設置する診療所において,就職当初は会計係兼健診部員として,その後は健診部専属職員として勤務してきたものである。
しかし,Xは,看護師の就労を妨害するため,同女を殴打する暴行を行ったことを理由に,平成7年6月2日,Yより懲戒解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は、Xが、Yの理事長であり医師である訴外某が患者を診察中,突然,診察室入口のアコーデオンカーテンを開けて診察室に入り込み,診察介助にあたっていた看護師の腰部を右手で殴打する暴行をおこない,診療を一時中断せざるを得ない事態を生じさせたことを認定した。
その上,「Xの看護師に対する殴打行為は,当該看護師の婦長就任に反対し,その就労を妨害するために故意に行われたもので,その態様は,診察室における診療中に行われたものであり,その結果,同女の就業を困難にしたもので,しかも,反省するところがないのであって,(就業規則上)「職員として品位,診療所の名誉,信用を失墜するような言動を行ったとき」,「故意による行為で業務に重大な支障を来した」場合に該当するといわなければならない」と判示して,懲戒解雇を有効と判断した。

株式会社ミック事件
福岡地判平成10.4.22労働判例746-5
(事案の概要)
Yは,クレーン車を運転操作する従業員(オぺレーター)を使用して,主としてクレーンのオペレーター付きリース事業を営む株式会社であり,Xは,平成3年9月16日,Yにクレーンのオペレーターとして雇用された。
しかし,Xは,客先の工事現場で現場監督に対して怒鳴るなどし,言い争いになり暴力沙汰になりかけたことを理由に,平成7年9月4日,Yより諭旨解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は,「Xの現場監督に対する対応は,(就業規則上)「会社の名誉を害し,信用を傷つけるようなこと」に該当し,また,XがA型バリケードを倒しながら移動していった行為は,「機械・器具,その他の設備は大切に取り扱うこと」という規定に違反する行為であり,就業規則上の懲戒事由に該当するといえる」と判示して,諭旨解雇を有効と判断した。
(コメント)
本件諭旨解雇が懲戒権の濫用となるか否かについて,本判決は,Xの行為が全く理由もなくなされたものではなく,そこに至った×の心情は理解できないものではないとしながらも,Xの行為は,①いずれの場合も暴言等によって取引先や同僚に不快感を与えたというにとどまらず,危険なクレーン作業においてチームワークを乱すものであり,事故を招来する原因となりうるものであって,放置できるものではない,②Yから戒告処分を受け,同じ行為を繰り返さないように何度も注意され,X自身も誓約しながら,その後の事件を起こした責任は重大である,また,③Yの下請的作業受注者としての立場からすれば,取引先に対するYの信用を失わせるものであり,営業活動に与える影響も少なくないとして,諭旨解雇処分が懲戒権濫用には当たらないとしています。

コニカ(東京事業所日野)事件
東京地判平成13.12.26労働判例834-75
(事案の概要)
Yは,カラーネガフイルムをはじめとする各種感光材料,感材機器,情報機器,カメラ等光学用品の製造販売を主な業務とする株式会社であるところ,Xは,平成2年12月16日,Yとの間で,期間の定めのない労働契約を締結して,平成9年3月16日から,東京事業場日野コンシューマイメージングカンパニ-CSセンターで勤務していた。
しかし,Xは,上司に暴言と脅迫的言動をし,机をたたき大声を出すなどの威嚇的態度をとったこと等を理由に,平成11年8月13日,Yより懲戒解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は,「上司のXに対する指摘は,Xの正当な権利行使を妨害しようとしたものとはいえない。Xは,上司に対し,一方的に極めて粗暴な言動を行っており,このような行為は,自らの行為の正当性を上司に強く主張するために行われたものであることを考慮しても,正当な行為と評価することはできず,上司の指示に従わず,職場秩序を乱すものといえるから,就業規則の懲戒解雇事由に当たる」と判示して,懲戒解雇を有効と判断した。

新星自動車事件
東京地判平成11.3.26労働経済判例速報1697-14
タクシー乗務員同士の殴り合いの事案につき,懲戒解雇を有効とした。

七福交通事件
東京地判平成10.3.3労働経済判例速報1666-18
タクシー乗務員が争議行為としてタクシーのボディにビラを貼付したため,これを剥がそうとした管理者に対し,これを制止しようと駆け寄り,勢い余って衝突し傷害を負わせた事案につき,懲戒解雇を有効とした。

5 反抗的態度を理由とするもの

山本香料事件
大阪地判平成10.7.29労働判例749-26
(事案の概要)
Yは,香料の製造販売,化粧品,石鹸原料の販売等を主たる目的とする株式会社であるところ,Xは,平成6年11月28日,期間の定めなく,調香師としてYに雇用された。
しかし,Xは,上司に対して反抗的であり,過激な言辞を発してその指示に素直には従わず,職場秩序を乱したことを理由に,平成7年6月26日,Yより普通解雇された。
(裁判所の判断)
裁判所は,Xが,新規開設予定の研究所の配置図をみて,自己の机が配置されていないことに怒り,上司に激しく抗議したり,上司に対し「上司らしいこともせず,上司面するな」と怒鳴りつけたりしたこと等を認定した。
その上,「認定した個々の事実については,その一つをとって解雇事由とするには,いずれもいささか小さな事実にすぎないが,これらを総合すれば,Xの種々の言動は,部下の上司に対する言動としてみれば程度を超えており,職場の秩序を乱すものといわざるを得ない」と判示して,解雇を有効と判断した。

信用交換所東京本社事件
東京地判昭和60.9.25労働経済判例速報1242-9
上司の質問に回答を拒否したり,上司からの資料の返還命令に対し,社長名の命令書を出せと反抗的態度を取ったりした事案につき,解雇を有効とした。

日本テレビ事件
東京地判昭和62.7.31労働経済判例速報1303-11
上司から命じられた業務をほとんど履行せず、上司に悪態をつき、上司が業務命令書を交付したところ、面前で八つ裂きにして、上司の頭上に振りかけた事案につき、解雇を有効とした。

6 業務妨害を理由とするもの

コニカ(東京事業所日野)事件(前掲)
(裁判所の判断)
裁判所は,「Xは,「7N3」プリンターを使用した回数は多くはなかったが,自らの経験や能力に照らすと,これを操作することに特に支障がなかったにもかかわらず,異常品質のプリントを大量に発生させ,このような異常事態があることを知りながら,上司の指示に従わず職場内の誰にも改善策を相談しないまま2日間にわたり作業を続け,これをそのまま上司に提出した。これらの事実によれば,Xは,故意に異常品質のプリントを大量に作成したと推認せざるを得ない。新製品の発売時期は延期されず,Yが営業上の損害を被ったとはいえないが,Xの担当業務が新製品の発売の一環としての重要な業務であったこと,Xの行為によって新製品発売までの作業日程が大きく混乱し,複数の部門の多数の従業員が迷惑を受けたことを考慮すると,Xの行為は,就業規則の懲戒解雇事由に当たる」,「Xは,株主総会で質問時間のほとんどすべてを独占し,必要があるとはいえないのに執拗に同じ質問を繰り返したり,他の株主との間で口論したり,不規則発言を繰り返すなど,株主としての正当な権利行使とはいえない異常な言動を継続的に行い,議事を妨害した。そして,当時,XがYとの間で労働条件や残業代の支払について対立関係にあったこと,YはXの労働問題に関する団体交渉に応じていなかったことを考慮すると,Xは,株主としての立場ではなく,従業員としての個人的利益を図るためにこのような行動をとったと推認せざるを得ない。Xの行為は,Yの最高意思決定機関である株主総会の議事運営を妨害し,秩序を乱すものであるから,就業規則の懲戒解雇事由に当たる」と判示して,懲戒解雇を有効と判断した。

東栄精機事件
大阪地判平成8.9.11労働経済判例速報1631-17
工作機械部品メーカーの従業員が,コンピュータ制御のNC旋盤の加工用プログラムを消去,破棄した行為は業務妨害であり,懲戒解雇を有効とした。

7 業務命令違反を理由とするもの

モルガン・スタンレー・ジャパン・リミテッド事件

東京地判平成17.11.30労働判例919-83
金融商品を販売する業務に従事していた従業員が,日本公認会計士協会が当該商品に関する会計監査上の留意点を発表したことに関し,自己の営業行為を阻害するものと考え,同協会を相手に会社に相談なく訴訟を提起し,会社からの取下命令にも従わなかったことを理由とする懲戒解雇を有効とした。

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