鉄材の加工等を扱う工場に勤務していた外国人の労働者の整理解雇を争った事案です。
業績不振を理由としてある日突然解雇を言い渡されました。
当事務所にご相談に見えた段階で,法的措置を見越した交渉をアドバイスしました。
その後,労働組合を通じた労働局のあっせんにおいて,会社より当方に有利な事情を引き出すことができました。
これにより法的措置をとっても十分勝てる,との確信を得ました。
その後,地位確認等仮処分を申し立てました。
労働審判を利用しなかったのは,
①相手方会社が強硬な姿勢であったため労働審判内で調停が成立する可能性が低かったこと,
②依頼者が生活に困窮しており早期に賃金の仮払いを受ける必要があったこと
等が理由となりました。
このようにケースバイケースに手続は使い分ける必要があります。
審理は,整理解雇の4要件(要素)の有無が争点となり,激しい攻防がなされましたが,会社側の主張を完全に崩し,整理解雇が無効であることを前提とした,高額な解決金を支払う旨の勝訴的和解を勝ち取ることに成功しました。
会社が行った解雇はそもそも理由のないものでしたが,それに加え会社は依頼者へ解雇通告をする際,日本語が通じないのはやむを得なかったとしても,手で首を切るジェスチャーをして告げました。
長年きつい肉体労働を安い賃金でこなしてきた労働者に対して,最後にその様な仕打ちは絶対に許されるものではありません。
このような会社の労働者の誇りを無視した措置こそ,本件紛争の原因と言えます。
このような解雇通知が,整理解雇の要件の1つである労働者との相当な協議説明にはあたらないことは言うまでもありませんが,完全に依頼者の信頼を損ないました。
もはや依頼者も積極的には復職は望まず,解決金を得た上で,就職活動をするか母国へ帰国するかを検討したいということでしたので,上記解決となりました。